CAD独立1年目のお金の落とし穴と節税術

CADフリーランス

「独立したら自由になれる」そう思って飛び込んだCADフリーランスの世界。でも、最初の確定申告を終えたとき、思っていたより手元にお金が残っていないことに気がつきませんでしたか?

私もそうでした。サブコン現場監督として11年7ヶ月働いたあと、CADオペレーターとして独立した最初の年。売上は想定通りに伸びていたのに、なぜか口座の残高がすっきりしない。税金や社会保険料の請求が来るたびに焦る日々。

今日は、その経験から「独立前に知っておくべきお金の知識」を全部お伝えしたいと思います。


問題の本質:フリーランスは「税込み収入」で生きている

会社員時代、給料は「手取り」で受け取っていました。税金や社会保険料は会社が引いてくれた後の金額が口座に入ってくる。だから、もらった金額がそのまま使えるお金でした。

でも、フリーランスは違います。クライアントから受け取る報酬は「税込み」の総額です。そこから自分で税金を引いて、社会保険料を引いて、経費を引いて、残ったものが「実際に使えるお金」になります。

月30万円の売上があっても、手元に残るのは20万円前後、ということも珍しくありません。この感覚を最初につかんでいないと、お金の管理で大きくつまずきます。


独立1年目がつまずく3つの原因

① 税金の「後払い」を忘れている

個人事業主の所得税と住民税は、基本的に「後払い」です。1年分の所得を確定申告して、翌年の5〜6月に住民税の通知が来て、翌年の3月15日までに所得税を納める。

独立1年目は前年の収入がないため、予定納税もなく「今年は税金がかからない」と錯覚しがちです。しかし、翌年3月の確定申告後、まとめて数十万円の税金が来る。これを知らずに使い切ってしまうと、一気に資金難に陥ります。

私の場合、最初の確定申告で約40万円の所得税と住民税が来ました。貯金があったから乗り越えられましたが、知らなかったら本当に危なかったです。

② 国民健康保険料の高さに驚く

会社員時代は健康保険料を会社と折半できていました。独立すると、全額自己負担になります。しかも国民健康保険は前年の所得をもとに計算されるため、独立2年目から保険料が跳ね上がります。

年収400万円の場合、国民健康保険料は地域によって異なりますが、年間50〜70万円程度になることもあります。これを毎月計算すると、4〜6万円が飛んでいく計算です。

国民年金も加えると、社会保険だけで月7〜9万円近くになります。これは見落としがちな固定費の大きな塊です。

③ 「経費で落とせる」の誤解

「フリーランスになれば何でも経費にできる」という話を聞いたことがある方も多いと思います。しかし現実はそう簡単ではありません。経費として認められるのは「事業に直接関係するもの」だけです。

例えば、家賃の一部を事務所として使っている場合は按分して経費にできますが、プライベートで使う部分は経費になりません。車も、仕事で使う部分のみが経費対象です。曖昧なまま全額経費にしていると、税務調査で指摘を受けるリスクがあります。

「経費で得をしている」のではなく、「事業の実費を適切に計上している」という感覚が正しいです。


CADフリーランスが活用すべき節税の具体策

青色申告で65万円の特別控除を受ける

独立したら必ず「青色申告」の申請をしてください。白色申告と違い、青色申告では最大65万円の特別控除を受けられます。年収400万円のCADオペレーターなら、この控除だけで約10万円前後の節税効果があります。

条件は、e-Tax(電子申告)で申告することと、複式簿記で帳簿をつけること。難しそうに聞こえますが、会計ソフトを使えば自動でほとんど処理してくれます。私は1年目に弥生会計を使っていましたが、今はマネーフォワード確定申告に乗り換えて使い続けています。個人的にはマネーフォワードの方が使いやすいと感じています。月額1〜2万円のコストをかけても、十分に元が取れます。

無料の確定申告自動化ソフト マネーフォワード クラウド確定申告

小規模企業共済で所得控除を最大化する

「個人事業主の退職金制度」と呼ばれる小規模企業共済は、月7万円まで掛け金を全額所得控除できます。年間最大84万円の控除です。

所得税率20%なら年間約17万円、住民税10%と合わせると年間約25万円の節税効果があります。老後の備えをしながら節税もできる制度として、フリーランスの間でよく紹介されています。

ただし、私はこの制度を使っていません。理由は、**実態は「税の繰り延べ」**だからです。今の所得控除で税金が安くなる分、将来受け取るときに課税されます。トータルで見ると、劇的に得をするわけではない。

私はその分をNISAで運用する方が、資産形成としてシンプルで合理的だと考えています。制度自体が悪いわけではなく、特に所得税率が高い方には有効な場面もあります。ただ、「節税になるから必ずやるべき」とは私は思っていません。自分のお金の使い方・考え方に合わせて判断してください。

iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用する

iDeCoも掛け金が全額所得控除になります。個人事業主の場合、月6万8000円まで掛けられます。年間81万6000円の控除です。

ただし、こちらも小規模企業共済と同様に60歳まで引き出せないという大きな制約があります。そして本質的には「税の繰り延べ」という点も同じです。

私自身はiDeCoも使っておらず、NISAの満額積立(年間360万円の非課税枠)を優先しています。NISAは売却益・配当が非課税で、引き出しの制約もない。まずはNISAを満額使い切ってから、それでも投資枠が足りないという方はiDeCoを検討するのが自然な順番ではないかと思います。

もちろん、これは私の考え方であり、税率や家庭状況によって最適解は変わります。気になる方はファイナンシャルプランナーや税理士に相談してみてください。

30万円未満の設備投資は即時全額経費に

2026年3月31日までに取得した30万円未満の減価償却資産は、その年に全額経費にできる「少額減価償却資産の特例」があります(青色申告者対象)。

新しいCADソフトのライセンス、高性能なモニター、製図用タブレットなど、仕事に使う機器を購入するなら、この特例が使える時期を意識して購入するのがおすすめです。


今日からできる具体的なアクション

難しく考えすぎず、まずはこの2つから始めてみてください。

「税金積立口座」を別に作る 売上が入ったら、すぐに20〜25%を別口座に移す習慣をつけましょう。所得税・住民税・国民健康保険料のために確保しておく口座です。これだけで「税金が払えない」というピンチは防げます。

青色申告の開業届と承認申請書を提出する まだ開業していない方は、開業届と一緒に「青色申告承認申請書」を税務署に提出してください。開業から2ヶ月以内に提出すれば、その年から青色申告が使えます。


資産形成について:投資は「目的」から学ぶことが大事

節税の話の延長として、資産形成についても少し触れておきたいと思います。

私自身はiDeCoや小規模企業共済よりもNISAを優先して活用しています。売却益・配当が非課税で、引き出しの制約もなく、シンプルに使えるのが理由です。

ただ、投資は自己責任です。NISAが合う人もいれば、今は投資より手元の資金を厚くすることを優先すべき状況の人もいます。各家庭の収入・支出・家族構成・将来の目標によって、最適な選択はまったく違います。

大切なのは、「なんとなく始める」のではなく、何のために・いつまでに・いくら必要なのかを考えてから行動することだと思います。まずはお金の知識を少しずつ学んでいくことが、一番の近道です。

気になる方はファイナンシャルプランナーや税理士に相談してみるのもひとつの選択肢です。


まとめ:お金の知識は最強のツールだ

CADの技術を磨くことに一生懸命になるのは大切です。でも、お金の知識がなければ、せっかく稼いだお金が目減りしていきます。

現場監督時代の私は、お金の管理は会社がやってくれると思っていました。でも、独立してみて初めて「自分で全部知らないといけない」という現実に直面しました。その後、生活環境も変わり、シングルファザーとして子どもを育てていくなかで、「お金の不安をなくすことが、仕事の質と子育ての余裕につながる」ということを強く実感するようになりました。

まずは1つ、今日から行動してみてください。青色申告の申請だけでも、1年後の手元に残るお金がぐっと変わってきます。

お金の知識は、CADツールと同じように「学べば必ず使える」スキルです。一緒に少しずつ身につけていきましょう。


タケ|サブコン現場監督11年7ヶ月を経てCADオペレーターとして独立。独立後にシングルファザーとなり、仕事・育児・お金を同時に学んだ実体験をもとに発信しています。

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